📚 本の基本情報
書名: 改訂版 アサーション・トレーニング -さわやかな<自己表現>のために-
著者: 平木典子
出版社: 金子書房
発行年: 2009年
ジャンル: 心理学・ビジネス・自己啓発
📚 この本を選んだきっかけ
会社での人間関係やコミュニケーションに悩んでいたとき、産業医の先生がこの本をすすめてくださいました。さらに、心理カウンセラーの間では広く知られているメソッドだと聞き、ますます興味が湧きました。
📖 あらすじ(ネタバレなし)
本書は、自分の気持ちや考えを正直に、かつ相手に配慮しながら伝えるための「アサーション(自己表現)」の技術をわかりやすく解説しています。
職場や日常生活での人間関係において、ストレスや誤解を減らし、円滑なコミュニケーションを目指すために、アサーティブになるための方法や考え方が紹介されています。
※アサーションとは、互いに率直に、素直に、正直に自分の気持ちを伝え合い、聴き合うことを指します。
✏️ 感想(ネタバレあり)
特に心に残ったのは、「アサーションは基本的人権の一つです」という言葉です。
つい忘れてしまいがちですが、誰もが自分の意志に素直になる権利を持っていることを改めて感じました
また一方で、「アサーティブにしない」という選択も、立派なアサーションであることに気づかされました。
つまり、自分の主張をすることで自分に危害が及ぶ場合や、状況によっては、あえて主張しないという、状況に即した現実的で冷静な判断をすることも、アサーティブな行動となるのです。
以下に心に残った文章を引用します。
人の言動となるものの見方、考え方の問題点を指摘し、自己成長と人間関係のあり方に大きな影響を与え、貢献した人は、「論理療法」の創唱者 A・エリスです。エリスは、(中略)感情は、実はものごとそのものへの直接の感情ということはなく、ものごとを人がどう受け止めたかによって引き起こされているということです。(p.83)
課題達成・問題解決の(タスク)のためのアサーションとは、(中略)うまく言えそうもないことを言おうとするとき、何と言ったらいいか迷うとき、自分の気持ちや考えを明確にしてから話す必要があるとき、などに役立つ言い方にことです。
このような場合、きちんとステップを踏んで、台詞づくりをすることが必要です。そのステップをバウアー夫妻とケリーの「DESK法」を使って紹介しましょう。D=Describe:描写する
自身が対応しようとする状況や相手の状況や行動を描写する。
客観的、具体的、特定の事柄、言動であって、相手の動機、意図、態度などではなく、
自分も相手も分かり、納得のいく事を述べる。E=Express, explain, empathize:表現する、説明する、共感する
状況や相手の行動に対する自分の主観的気持ちを表現したり、説明したり、相手の気持ちに共感する。
特定の事柄、言動に対する自分の感情や気持ちを建設的に、明確に、あまり感情的にならず述べる。S=Specify:特定の提案をする。
相手に望む行動、妥協案、解決策などの提案をする。
具体的、現実的で、小さな行動の変容について、明確に提案を述べる。C=Chose:選択する
肯定的、否定的結果を考えたり、想像し、それに対してどういう行動をするか選択肢を示す。
その選択肢は、具体的、実行可能なもので、相手を脅かすっものではないように注意する。(p.117)
本書を読み進める中で、「みんながアサーションを知っているわけではないのに、やる意味があるのだろうか」と懐疑的に思う部分もありましたが、その点についてもしっかり触れられていました。
このような考え方は、ものごとのある側面を鋭く突いている部分もあり、まったく間違いというわけではありませんが、ときにはその言い分の中に、自分に対する「自己説得的言いわけ」が潜んでいることがあります。(中略)「ほんとにそうか?」と確かめてみると、習慣化された非合理的なものの見方、考え方によってアサーションのチャンスを逃していることがわかるかもしれません。(p.82)
周囲の人がアサーションを実践していないからといって自分がやらないのではなく、アサーションを身につけることで、「類は友を呼ぶ」とは言いませんが、自分自身がそうした環境や人間関係の中に入り、良い関係を築いていけると感じ、習得することは無駄にならないと思いました。
👤 こんな人におすすめ!
- 職場や日常生活での人間関係やコミュニケーションに悩んでいる人
- 自分の気持ちや意見を正直かつ相手に配慮して伝えたい人
- ストレスの少ない円滑なコミュニケーションスキルを身につけたい人
💡 総評
⭐ 総合評価:★3.7/5.0
📊 評価内訳:
- 読みやすさ: ★★★★☆(専門的な内容を初心者にもわかりやすく説明している。)
- 内容の充実度: ★★★★☆(現場の意見も交えられており、学習初心者の導入として適している。)
- 実用性: ★★★☆☆(本書だけでアサーティブになるのは難しいかもしれませんが、考え方の基礎としては十分役立つ。)
内容は専門的ですが、初心者にも理解しやすい工夫がなされています。ただ、本書だけでアサーティブを完全に習得するのは難しく、他の書籍と併用して学ぶのが望ましいと感じました。
アサーティブをある程度身につけた頃に、改めて読み返してみたいと思います。
💡 参考(目次)
改訂版への序
第1章 アサーションとは(P.11)
1.あなたのアサーション度は?(P.12)
2.アサーションとは(P.15)
3.全般的に非主張的、または攻撃的な人(P.31)
4.なぜアサーティブになれないか(P.34)
第2章 人権としてのアサーション(P.47)
1.自信とアサーション(P.48)
2.アサーションと人間性回復運動(P.50)
3.新たなアサーションの広がり(P.53)
4.基本的アサーション権(P.58)
アサーション権Ⅰ(P.60)
アサーション権Ⅱ(P.64)
アサーション権Ⅲ(P.68)
アサーション権Ⅳ(P.72)
アサーション権Ⅴ(P.74)
第3章 考え方をアサーティブにする(P.79)
1.日頃の考え方をアサーション(P.80)
2.非合理的思い込みとは(P.85)
第4章 アサーティブな表現(P.99)
1.あなたはどれくらいアサーションができていますか(P.100)
2.言語表現の上手・下手(P.103)
3.言語表現の二つの場面(P.107)
4.言語表現のための心構え(P.122)
第5章 言葉以外のアサーション
1.非言語的アサーションの要素(P.135)
2.感情の表現について(P.140)
3.怒りとアサーション(P.153)
第6章 アサーション〈自己表現〉トレーニングの実際(P.165)
1.トレーニングの概要(P.166)
2.アサーションのこれから(P.186)
参考文献(P.188)



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